中学校国語指導直前情報「かけはし」2004年1・2・3月号より。この作品が書かれたのは1958年4月~1959年5月の間です。作者はヴェロニカについて「彼女がどういう境遇の女性であったか,今の僕たちにも分かっていません。分かっているのは,この名がギリシャ語のヴェレニスという呼び名から転訛したもの」と述べていますが,現在ではヴェロニカについて,以下のようなことが分かっています。ヴェロニカという名称についてですが,イスラエルの婦人(ヴェロニカ)を指す場合と,汗を拭った布に写ったキリストの顔(ヴェール・イコン )そのものを指す場合,あるいはその両方を指してヴェロニカという場合があります。一頃にはヴェール(布)といえば,ヴェロニカを指す程に,中世キリスト教社会ではポピュラーなものになっていました。
東京書籍(株) 国語編集部