入試問題で,2次の正方行列のn乗を求めさせるものがある。2乗,3乗,・・・と計算し(あるいは,ケーリー・ハミルトンの定理を活用し),n乗を推定して,数学的帰納法でその推定が正しいことを証明する問題もあれば,固有方程式,固有ベクトル,固有ベクトルから作られる行列による対角化,それを基にしてn乗を求める問題もある。後者の場合,そのような数学的用語を用いて解くのは,教育課程外で本来御法度であるが,実質そのように計算している。教科書では,具体的な例を通じて,n乗の求め方が提示されているが,本稿では,一般論を論じたい。
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山口県立岩国高等学校教諭 西元教善