中学校社会科における目標は、「公民的資質の基礎を養う」ことである。この目標について、私は「『未来の主権者』を育成する」というように、換言できるのではないかと考えている。そして「『未来の主権者』を育成する」ためには、単に教科書の中の知識を生徒たちに伝達するだけでは不十分であるとも考えている。現実の社会の中で、私たち大人にも結論が出せていないような課題について、授業の中でじっくりと「考える」学習場面を保障することが、その目標に到達するために必要不可欠である。本実践は、中学校社会科における最後の単元「日本と世界の平和を考える」の中での生徒たちの学びをまとめたものである。憲法「改正」や普天間移設問題という学習課題に挑む生徒たちの姿を通して、「未来の主権者」を育成しようとする試みについて報告したい。
島根県益田市立益田中学校 山本悦生