[本文より]今,学校は矢継ぎ早な教育改革の波に翻弄されているかのように見える。地域によってその態様は異なるとはいえ,学校の自由選択制や学校2学期制の導入をはじめ,教員の評価制度の導入,学校評議員制の設置などさまざまな教育改革が進行中である。そうした中,2004年秋には,新たに義務教育改革の内容とスケジュールが発表され,また,2005年1月には,昨年12月のOECDのPISAや「国際数学・理科教育動向調査」の結果をもとに,学習指導要領の見直しが取り沙汰されている(現行学習指導要領に関していえば,今年度の当初に改訂されたばかりであり,しかもこの改訂も全面実施から2年後であった)。こうした教育改革の渦中にあって,本来であれば,その改革の実現に向けて活気がみなぎっているはずの学校が,総じて「元気のない学校」になってしまっているのはなぜか。それは,それぞれの学校が,この改革がなぜ必要なのか,この改革のめざすものは何か,といった趣旨や意義を十分に理解できず,自らの課題として認識できないまま,改革の流れが早過ぎてその対応のみに追われてしまっているからではないか。
聖徳大学教授,前全国連合小学校長会長 西村佐二