[本文より]
授業中の子どもたちの姿勢が気になる。最初から,寝ている子。腰をすべらせてソファーに座っているがごとくに聞いている子。肘を付きながら聞いている子。しょっちゅうあくびをしている子,等々。我が国の伝統的な教育においては,常に姿勢が問題にされた。学校現場に未だに影響力をもつ森信三氏は,「姿勢を正し,時を守り,場を清める」ことを提唱した。教育は日常生活の積み重ねである。子どもたちが,意識して生活を律していけるのは学校という場である。家庭や地域社会では,どうしても自分に甘くなってしまう。学校において日常生活の心構えを,身をもって学ぶ。それを家庭や地域社会での生活の場にも適用できるようにしていくのである。
昭和女子大学教授 押谷由夫