[本文より]
押谷由夫先生が「総合単元的な道徳学習」を提唱されて以来,全国的に多くの実践事例が報告されている。道徳の時間を核として,全教育活動における道徳学習の場面を有機的に結びつける「総合単元」によって,道徳教育を計画的・発展的に行い,子どもの道徳性をよりダイナミックに育てようとすることが,大きなねらいである。その効果は紛れもない事実ではあるが,実際に「総合単元的な道徳学習」を始めようとすると,いくつかの懸念が生じて二の足を踏むことも考えられる。例えば,教科等にはそれぞれ固有のねらいがあるが,どのような教育活動を関連させたらよいのか,関連させる内容はおよそいくつか,時期はどのくらいか,道徳の時間をどう位置づけるのか,などの声が聞かれる。本稿では,「総合単元的な道徳学習」をこれから始めるにあたってのポイントを紹介し,「総合単元的な道徳学習」の構想例を考えてみたい。
東京学芸大学附属小金井小学校教諭 わいないよしき 和井内良樹