今回行われた調査問題は,どの問題も,理科の学習指導要領の目標に明示されている「問題解決」の過程に沿って構成されている。つまり,単なる知識や技能を問うだけではなく,これまでに得た知識や技能が,設定された「問題解決」の場面で活用できるのかどうかを問う問題であったと言える。また,思考についても,予想をもとにして実験の設定をしていく場面,実験結果から予想したことを捉え直す考察の場面など,具体的に設定された場面で批判的に思考したり,結果を適用して思考したりすることができるのかどうかなどを問う問題であった。さらに,調査問題はすべて「A 物質・エネルギー」「B 生命・地球」の区分で分けられているものの,学年や単元を限定した構成にはなっていない。
これらを含めて考えると,理科で身に付けるべき「学力」は,限られた場面ではなく,あらゆる「問題解決」の過程で,学年や単元という枠を越えて,学習した成果が活用できるようになっているべきであるということがわかる。
神奈川県公立小学校 教諭