「われは海の子」は文部省唱歌として明治43年から長い間歌い続けられてきた。多くの人々に親しまれてきた反面,歌詞が文語体であり,今の時代にそぐわないと批判されてきたことも事実である。しかし,そもそも主観芸術の最たるものとしてその位置をしめる音楽にあっては,歌詞から捉えることができる意味以上に,メロディーやハーモニーがもちうる主観的なイメージが先行するものである。ある年齢に達した日本人なら誰でもが知っている,この親しみやすいメロディーやハーモニー等の指導をとおして,本教材に対する子どもたちの興味や意欲を育む目的での「総合的な学習の時間」の活用では,学習課題に対して児童一人一人が主体的に取り組めるよう指導したい。
長崎県小浜町立富津小学校 川原信之