「お墓のない人生をはか(墓)ない人生と申します」。子供の頃、京都の某墓石店のテレビコマー
シャルで流れていた台詞である。
私は、墓もいらないし、葬儀も不要と思っているが、宋代にかぎらず中国の多くの人々にとっては、
「お墓のない人生ははか(墓)ない人生」であったようである。
比較的豊かなものは、宗族の墓地を所有・維持したが、貧しいものはそうもいかない。宋代は都市
の発展とも相まって、皆が墓地(墓所)を確保するというわけにもいかなくなっていた。そのため、
火葬が行われたりもした。
兵士たちの多くは貧しかった。そして、民衆よりも死に直面する機会が多い兵士たちやその家族に
とって、死後の行方は重大な関心事であったと思われる。
北海道立命館慶祥高等学校教諭 斎藤忠和