自分の小学生時代を思い出すとき,ほろ苦さとともに「♯」と「♭」が登場する。何がイヤといって,この得体の知れぬ二つの記号ほど苦手なものはなく,音楽アレルギーの核をなすものだった。「調」についての学習で,これが「ヘ長調」「ト長調」そして「ニ短調」・・・へと繋がっていくのだが,こうなると,もう完全にお手上げだった。<ハニホヘトイロハ>また<トニイホロヘハ・ヘロホイニトハ>など,暗記するのは簡単だが,なぜ,♯や♭がその場所につくのか・・・,長い間分からなかった。<♯:♭恐怖症>に取り付かれた少年時代は,今,思い出してもつらい。
甲南学園甲南小学校 田中安夫