[本文より]生きるということは,問題解決の過程であると思っている。
私が音楽教育に対して問題を明確に意識したのは,教育実習に行った後であった。実習がうまくいかなかったわけではない。附属中の秩序ある子どもたちを相手に,一応うまくいった。私は,中学生が喜んで歌うような曲を選び,その曲の背景から意味をわからせるように説明し,ピアノ伴奏にのせて歌わせた。型通りではあったが,そこに生徒が興味をもつよう工夫もした。高校では,自分がぜひ聴かせたいと思う曲を選んで鑑賞もさせた。後でその曲についてもっと知りたいと訪ねてきた生徒も何人かあり,反応も悪くなかった。
大阪教育大学教授 小島律子