[本文より] 最近,表現と鑑賞の一体化について考えさせられることがあった。
小学校4年生の図画工作科の授業で,途中までは表現活動をして,最後の10分で鑑賞会をするという授業を見たのだ。
そういえば,私が小学生だった頃にもこんな授業を受けた記憶がある。何十年も以前のことだ。教師は,予定した鑑賞会の授業が近付いてくると,「あと10分」,「あと5分」という言葉を連発した。これは,まぎれもなく脅し文句である。
そして,鑑賞会が始まった。子どもたちは,鑑賞カードなる紙片を手に友だちの作品の前をはしごする。どうやってつくったのか,なぜこうしたのかは誰にもわからない。ただ,完成した作品に「きれいだ」とか「かわいい」などの言葉を投げ掛け,書き留めて行く。
山梨大学 栗田真司