[本文より]近年,図工・美術の教育においては,「鑑賞教育の重視」という方向が強く打ち出されている。
ここには,実生活においては,造形的な表現の場面に比べて,芸術作品を鑑賞する機会の方がはるかに多いという判断があり,教育内容としても,また国民的なニーズとしても,鑑賞活動を通じて美意識や美的選択能力を高めることが求められているという認識があるのだろう。なるほど,趣味や愉しみとして絵を描いたりクラフトの制作をしている人も増えてはいるようだが,いわゆる「美術の秋」に美術館に列をなす人と比べれば,その数は知れているということになるかもしれない。
「美育文化」編集部 穴澤秀隆