[特集 続・地域と図工]巻頭言 いたるところで必要とされる,図工で培われた資質
東京都文京区立駒本小学校主幹 大道博敏
小学校図画工作-教室の窓Vol.7
東京書籍 2007年4月発行
[本文より]
図工はもともと地域とかかわりをもって行われた教科です。ただし,そのかかわり方は時代とともに変容してきたようです。戦後に限って追ってみても,題材そのものを地域に求めていたことがうかがえます。写生画など最たるもの(外に出て景色を描いて来い)ですが,そのほかにも工作の材料を地域に求めたものや,題材が地場産業や郷土玩具に結びついたものが多く見られます。昭和30年代前半までは貧しかったので,工作の材料を安価な地域の廃材に頼る部分が大きかったのでしょう。しかし,その後,産業構造の変化に伴い,素材の変化(石油製品の増加)と流通の多様化,題材情報の共有,教材カタログの登場などにより,地域性は薄められていきました。
東京都文京区立駒本小学校主幹 大道博敏