子どものころの体験は大人になっても大きな影響を与えるものである。入学してきた子どもの教育が遠くその将来へ向けての人間性教育になるとすれば,低学年に新しく課せられることになった「生活科」に期待するものは大きい。/生活科の実践に当たって,必要な観点は何だろうか。第一に,子どもたちが「自己」と彼らの周りの「世界」とを,新しい仕方でつなぐことができるように,援助すること。/1989年(平成元年)の学習指導要領の改訂で,小学校低学年に生活科が新設された。戦後教育50年,小学校教育にあって教科の改廃は初めてのことである。
水野丈夫(東京大学名誉教授),寺﨑昌男(立教学院本部調査役,東京大学名誉教授),中野重人(国立教育政策研究所名誉所員) 水野丈夫,寺﨑昌男,中野重人