数学の勉強の苦手な生徒たちは、数学を勉強したがらない。勉強の意欲がなかなか湧かないようである。数学学習の意欲は、数学自身の面白さを本人が感じ取ることから生まれることが一番の理想であるが、それ以外に、自身の進路に結びつくことも学習意欲の大きな動機付けになる。最近耳にする問題は、生徒が高校生の時に数学を十分に勉強せずに大学や専門学校に行ってから、補習を受けないと授業についていけない状況があることである。これは、まさに高校教育界が抱える大きな問題である。問題点は、3つある。(1)生徒が進路先でどの様な数学学習が必要か知らない,(2)教師も進路先でどの様な数学を生徒が必要になるのかを十分に知らない。そしてその結果として、(3)生徒が科目選択の際に、適切に科目を選べない。学習意欲も湧かない。
埼玉県立大井高等学校主幹教諭 白石紳一