初めて大学で持ったリーディングの授業で,淡々と英単語を日本語に置き換えていく学生を見て,「君たちは英文を読んで泣いたことがあるか。」と尋ねたところ,不思議そうな顔をしていたのを覚えている。今年もまた大学1回生のリーディングの授業を担当することが決まって,彼らに何のために読ませるのだろうかと,ずっと答えを探している。学生のTOEICのスコアを上げろという大学の目標を考えると,TOEIC読解問題対策の授業にすることは妥当だし,多くの問題集があるため授業計画は楽だ。でも,と思う。
関西大学准教授 岡本真由美