[本文より]小学校では,英語などよりも,まずは母語である国語力を重視すべきであるという主張があります。小学校からの英語教育の導入に対する反対論のひとつの根拠として「国語力の低下」が示される場合もあります。この言説に関しては,「国語力」という言葉で具体的にどのような意味を表しているかによって,その妥当性が異なってくるように思います。例えば,それが日本語の基本的な文法能力という意味合いであるならば,それは学校教育の関与しないことであり,そもそも英語の学びとは無関係ということになります。母語の基礎的な文法能力は,子どもの生得的な言語習得能力とその言語が使用される環境との相互作用により,5~6歳くらいまでに身につくからです。一方,「国語力」を読む力というようにとらえるとするならば,そもそも子ども達の読解力が低下している原因は,国語科の学びの中に求められるべきものでしょう。週1回,英語活動を取り入れたことによって,国語の読みの力が衰えたなどということは考えられません。現行カリキュラムで第六学年の国語科の授業時間数は,週5時間です。このような授業時数の中で,何をどう学ぶのかを再考する必要があります。
広島大学 築道和明