[本文より]2005年度を目前にしてこの原稿を書き始めたが,2004年度中には出るだろうと期待されていた,小学校における英語教育の方向性について,まだ文部科学省からの判断は聞こえてこない。さまざまな憶測が飛び交う中で,現場では,既に2005年度に向けての指導方針やカリキュラムの検討,研究の計画,研修日程の調整などが始まっている。現場の責任者の先生方のご苦労が思いやられるばかりである。この冊子の読者のほとんどが,ためらいなく英語を教え,学習者に英語の運用能力をつけることを使命としておられる先生方であろうと考えると,改めて新鮮な気持ちになる。なぜなら,総合的な学習の時間の中で,「体験的に英語に触れさせることを目的とした授業をするのであって,教科と銘打って英語を教えるのではない」と自分に断りつつ,英語を使った授業を組み立てておられる先生方との接触のほうが多いからである。この差を埋めながら,日ごろ考えさせられていることをお伝えしたいと思う。
千葉大学非常勤講師 久埜百合