東京書籍2008年9月発行、教室の窓「教育情報Vol.25」より。日本では,新しい学習指導要領が告示され,このところ続いていた学力低下論争に終止符が打たれようとしている。30年ぶりの授業時数の増加,ゆとり教育からの脱却など,新聞紙上をセンセーショナルな見出しが踊り,日本の教育が新しい方向に向かおうとしているかのような印象を受ける。国際調査などの結果から見て,日本の子どもの学力が以前よりも順位を落とし,学校現場で起こる様々な不祥事が全国版の記事になり,大都市を中心に公立学校離れが起こる現状からすると,「日本の教育現場は荒廃し,これまでの教育の流れを根底から覆すような改革がなければ,日本の教育は救われない」といった意見が正論として受け取られるような風潮さえ感じられる。
ディポール大学准教授 高橋昭彦