[本文より]
フリ-ライタ-として仕事をする中で,「暮らしの中で使える科学を」というテ-マで記事を制作する機会があります。そんなとき執筆にあたって私が最も意識する読者は,「高校を卒業してから一度も理科を勉強していない人」。このような人はたいてい,「高校時代,理科がきらいだった」と言い,「理科の勉強が大人になって役立つとは思っていなかった」と語ります。高校までの理科は,理系に進学するクラスメ-トのための基礎勉強であって,理系を選択しなければ,学習のモチベ-ションはせいぜいセンタ-試験で得点をとるためとなってしまいます。高校までに少なくない時間を割き学習した内容が,卒業と同時に「古い知識」となり,このようにして記憶の底に沈むのは,見ていて忍びないものです。
ニュ-サポ-ト高校理科Vol.9 東京書籍2008年4月作成