平成元年度版学習指導要領の改訂において「体験的な活動の重視」が打ち出されて以来,社会科学習における体験的学習の重要性は増してきている。その背景には,今日における体験の欠乏によって,子どもたちは体験に裏づけられた豊かな情報を持ちうることができず,概念や事象の意味が分からないため,学習が成立しにくくなっているという状況に対する危機感がある。また,学力の基礎・基本が,知識・理解のみならず,能力,関心・意欲・態度にまで広げられ,自己教育力の育成を目指した新しい学力観が提唱されたことにもよると考える。
島根大学教育学部附属小学校教諭 よしざきあきら 吉崎朗