[エッセイ 私から見た社会]チンパンジーの教室から
松沢哲郎(京都大学教授)
「教室の窓」小学校社会Vol.2(2004年9月発行)
東京書籍2004年9月発行
[本文より]私事で恐縮だが,わたくしの父・慶一は小学校の教師だった。それも社会科の教師である。亡くなった母も,亡くなった兄も,その兄の息子も小学校の教師である。今となっては,東京で3代続いた教師の家系ということになる。共働きの両親が,食事をしながら話をする。母が「きょう,うちの子たちはこうだった」と言うと,父が「うちの子たちは……」と応じる。「うちの子」というのは,わたしを含めた3人の息子のことではない。それぞれが担任するクラスの子たちのことである。
京都大学教授 松沢哲郎