[本文より]
21世紀を迎えた今日,世の中はインターネットや携帯電話に象徴される情報化社会となっています。子どもたちでも,パソコンさえあれば,学校や家庭から自由に世界中の情報を享受できる便利な時代となりました。博物館も,今までのモノ(実物)を収集・保管・展示する施設から,情報を発信する施設へと変貌しつつあります。「デジタル・ミュージアム」という言葉に象徴されるように,博物館の展示場では多様なIT 機器が導入されたり,また,ネット上では様々な仮想博物館がつくられたりしています。これらは,学校における社会科の教材としても利用されたり,いわゆる総合学習の場としても活用されてきました。その反面,多くの博物館関係者がこの状況でよいのか,博物館はモノを通しての学習活動の場という原点に戻るべきではないか,あるいは博物館と学校とがどのように連携するのかなど,博物館が自らのあり方を模索している時代でもあります。
国立民族学博物館 宇治谷恵