[本文より]
三角野球が面白い。三塁がなくフェアゾーンも60度ほどの扇形である。直径15cmのキャンディーボールをプラスチックバットで打つ。ダウン症の孝君(小5)がバッターボックスに立つと,投手の津君(小6)はすっすうと本塁ベースに近づき,下手投げでゆるい球を放る。孝君はいいフォームで打ち返して安打。Vサインの手を突き上げる。その津君が打者幸君(中2)になると,ピッチャープレートに立ち,大きく振りかぶって豪速球を繰り出す。この投球の差は,誰かが津君に指示したのでもない。チームの仲間に相談したのでもない。彼が,打者が誰かによって自分の判断で球質を変える。チームの誰からも文句がでない。
ゆうび小さな学園代表 うちぼりてるお 内堀照夫