巻頭言:子どもたちとの磐梯山登山
田部井淳子(たべいじゅんこ・登山家)
教室の窓教育情報No.12
東京書籍2004年3月発行
[本文より]
ここ7,8年,夏休み最後の週末に東京都にある養護施設でくらす生徒さんたちと磐梯山に登っている。私のロッヂがある安達太良山の山麓の沼尻高原に宿泊し,磐梯山登山,裏磐梯自然散策などの自然教室をニッセイ緑の財団が主催して行うものである。種々の生徒さんの個性に出会えるので,私にとっても貴重な時間だ。各施設から5,6名の生徒さんと先生方が参加し,総数約40名ほどがニッセイのスタッフと共にバスでやってくる。子どもたちは,いつもと違う場所に移動するというだけで興奮している。先生方の話によると,1週間前から「何持っていけばいい?」と嬉々とした様子だったという。異なる施設から来ているにもかかわらず,バスの中では自己紹介や自分の施設での生活などの話がはずみ,子どもたちは結構仲良くなっていた。
登山家 田部井淳子