教室の窓「教育情報No.23」2008年1月作成
[本文より]
武器としての刀剣の利用は東西を通じて古く,その操法の剣術も長い歴史があります。日本では日本刀がつくられて武士の佩刀はいとうとなり,剣術各流派も生まれました。しかし江戸幕府での戦乱のない時代を迎え,刀は実戦より武士の地位の象徴が主な役割になりました。江戸中期の18世紀のころ,竹刀しないと防具が工夫され,武士の子弟が刀の操法を学ぶための,打ち合いや試合をする竹刀打ち剣術が始まりました。この剣術の出現こそ,それまでの形かた中心だった剣術を脱皮させ,現代剣道を形成したイノベーションの起点となったものです。竹刀,防具を用いた剣術の改良は進み,幕末にはほぼ現在のものとなり,武士以外にも広まりました。明治維新後,武士階級は消滅,佩刀も禁止され,剣術修錬の基盤は崩れ,衰退期に入ります。しかし世が落ち着くに伴い,剣術は改めて評価され,復活していきました。まず警察において奨励され,高等教育の学校でも活発に行われるようになりました。
財団法人全日本剣道連盟会長 武安義光