まえがき 「子どもの居場所」を創る
現代学校経営39
監修・編者 堀内 一男(跡見学園女子大学教授)
現代学校経営シリーズ39 子どもの居場所を創る学校-集団活動の中で自己肯定感を育てる-
東京書籍2007年4月発行
[はじめに(前文)]
平成十八年秋には,連日「いじめによる自殺問題」,「高校の科目未履修問題」にかかわる報道が続いた。「学校何やってる!」,「教師何やってる!」,「教育委員会何やってる!」の大合唱は,本気に取り組んでいる多くの学校や教師の地道な努力を,評価すること無くかき消してしまい,「教育不信」の世論が増幅された。A誌の教育特集「子どもを殺すのは教師か親か」のセンセーショナルな吊り広告が電車内に揺れ,多くの教師を意気消沈させてしまった。
そして,戦後の民主教育を支えた「教育基本法」の改正についても,時代や社会の変化,価値観の多様化が進む中で,日本の教育や国づくりを再考するうえからその検討の必要性は理解できても,「今,国や郷土を愛するとは何か」,「教師の使命の強化だけでよいのか」,「子どもの教育の第一義的責任は保護者にあることをどのように国民に自覚させるのか」,「学校・家庭・地域社会の連携のあり方をどう具体化するのか」などの,現在の教育課題に対する国民の関心や論議を喚起することなく成立したことに不安が残る。