はじめに
現代学校経営36
監修・編者 無藤 隆(白梅学園大学学長)
現代学校経営シリーズ36 学校力の向上-その経営戦略と実践-
東京書籍2006年4月発行
[はじめに(前文)]
今,学校をめぐる制度は大きく動きつつある。その基本的な方向は,教育課程や授業時間や教育予算の大枠を国が決めるが,具体的な運用は学校に委ね,裁量の幅を大きく広げようということである。その代わり,その教育の成果については説明責任を求め,学力検査のみならず,学校が目指す諸側面の子どもの成長について検証していく。
その際,大事なことは学校の中の「改善システム」を十分に機能させ,計画し,実行し,評価・改善するサイクルをきちんと動かしていくということである。つまり,学校としての目標を明確にし,実現のための手立てはさらに詳細に展開して考える。一般的なものとともに,自分の学校としてのあり方を検討する。どこに力を入れるべきか。だが同時に,バランスを忘れない…。
学校の目標は多岐にわたるのだから,一面だけに資源(予算,人手,時間)を回しすぎるのは必ず弊害を生む。成果をとらえるにしても,学力検査のみならず,不登校やその他の生徒指導上のこと,保護者からの苦情や注文,学校の清潔さ(ゴミがまき散らされていないか,どこか壊されていないか等),子どもへの様々なアンケートなど多面的に見ていく。(以下略)