[本文より]
文部科学省では,これまで教育課程の改善のための研究開発学校制度など,教育の研究開発に力を入れてきているが,2006(平成18)年度から,新たに「新教育システム開発プログラム」という事業をスタートさせた。これは中央教育審議会(中教審)の答申を受けて,それに対応するかたちで行われている。中教審は,2005(平成17)年10月に出した答申「新しい時代の義務教育を創造する」で義務教育の構造改革を提言した。それは,教育行政を(1)インプット(目標設定とその実現のための基盤整備)の保障,(2)プロセス(実施過程)を担う市区町村や学校の権限の拡大,(3)アウトカム(教育の結果)の検証のための評価の実施の三要素でとらえて,義務教育を質的に保障しようという考え方である。
上越教育大学名誉教授 新井郁男