[特集 これからのキャリア教育を考える]キャリア教育の意義と展望
[本文より]
小学生や中学生,高校生による事件が跡を絶ちません。こうした子どもたちはこころのブレーキがきかなくなっているのだ,という人がいます。たしかにそういう,いわば「自己抑制」のはたらきが問題であるようにも思いますが,ただ一方的に「抑制」ばかりだと,かえって爆発しかねないようにも思います。必要なのは「自己統制」なのではないでしょうか。自己統制とは,単に我慢するとか自分を抑えるというのではなく,自分を一定の方向に向けていくことです。自分の目標の実現に向けて,自分の行動をコントロールしていくことが自己統制です。この場合,その目標が問題です。何に向かっていけばいいのか。生きる目標,いわば「生き方」が問題なのです。
東北大学大学院教育学研究科教授 菊池武剋