2000(平成12)年度版
[本文より]
「戦争は,悪いこと。」「してはいけないこと」。これは,勉強をしなくても誰でも分かっている。では,なぜあえて教材として取り上げたか。戦争教育でしか教えられないものを強く感じたから。「戦争教育でしか教えられないもの」とは,いったい何か? それは,
【人間は,どう生きるべきかという究極的なことが考えられること】
【本質的に何が善か悪かを見極める力を育てられること】
戦争は,生か死かに直面している。家族の中で肉親が死んでいき,二度と帰らない。殺人行為が公然と認められている。自分の意志が通じない。そんな中で人間としてどう生きるべきか。善悪の見極めは何か,を考えることによって生きる力の基本にしたい。
しかし,今でも世界のどこかで戦争が続き,将来も続いていく。いわゆる戦争教材を扱うことに対して,たいへん難しく非常に悩んだ。指導者は,戦争経験が全く無く,まして学習者もない。このような中で悩みながら,共に何かを得ていきたいと思った。
福井市松本小学校教諭 祐安裕美