教室の窓「小学校保健・中学校保健体育Vol.2」2004年9月号より。児童・生徒へのたばこの影響は受動喫煙を受ける被害者として始まる。最近の調査では児童・生徒の80%が家庭内での受動喫煙を受けていることが判明した(2001年和光堂調査)。受動喫煙は発育途上の子どもたちに健康面での影響を及ぼすのみならずADHDや行為障害などを生じやすいという報告や,子どもが将来喫煙者になりやすくなるなど,精神面や行動面での影響も大きいことが指摘されている。受動喫煙と並んで大きな問題となっているのが,児童・生徒の喫煙である。未成年の喫煙は法律的に禁止されているといった観点のみならず,周囲の友人関係の変化を引き起こし,時にgateway drugとして他の反社会的生活行動変化の引き金にもなりうることや,成長してからの健康被害の増大などからも重大な問題である。
奈良女子大学教授 高橋裕子