教室の窓「小学校保健・中学校保健体育Vol.3」2005年4月号より。2004年3月25日,古代オリンピック発祥の地,オリンピアの遺跡で採火された聖火は,近代オリンピックの父クーベルタン男爵の心臓が埋葬された白い石碑の前で第二走者に引き継がれ,世界五大陸を巡り,8月13日,108 年ぶりにアテネの地に戻った。聖火は「理性」「道徳」「人間の繋がり」を表し,左手に持つオリーブの小枝は「平和」のシンボルである。クーベルタン男爵はオリンピック資金を捻出するため赤貧の晩年を送ったが,その行く末を案じて自分の心臓をオリンピアの丘に埋葬するように遺言を残した。
埼玉大学教育学部教授 野瀬清喜