樹液が甘い板屋楓(イタヤカエデ)、撮影年月:2004年11月17日、撮影者:茨城県牛久市 坂弘毅、撮影場所:千葉県松戸市内・本土寺。イタヤカエデはカエデ科の落葉高木で、高さ20mくらいになります。板屋とは板でふいた屋根のことで、葉がよく茂り、板屋のように雨がもることがないということからきています。樹液が甘く、たばこの香料に使われます。(撮影者からのコメント)地球温暖化の影響でしょうか、紅葉のシーズンが年々遅れているような気がします。このまま気温上昇が続けば、紅葉は年を越すことになるかもしれません。(独)森林総合研究所の研究結果では、現在のまま気温上昇が続けば2090年ころまでに、本州にあるブナ(冷温帯植物)の大半が消滅するといわ れています。すでに立冬も過ぎ、暦の上では冬ですが、今、紅葉の真っ盛りです。今年の紅葉は例年に比べて特別美しく感じられます。それは、暖冬傾向でしばらく暖かい日が続いたため、朝夕の温度差が少なく、紅葉が遅れたのでしょう。12月に入ると、西高東低の気圧配置となり、朝夕の温度差にめりはりがついてきました。のんびりしていた木々はたいへんだとばかりに、紅葉モードにスイッチを切り替えました。例年ですと、秋の深まりとともに順送りの紅葉で人々の目を楽しませてきた木々は、ここに来て一斉に紅葉し、里山は燃えているようです。今年、特に目につくのは、雑木林の紅葉です。コナラやクヌギ、ケヤキの他、ウルシ科の木々やガマズミも真っ赤に燃えています。また、公園や街路樹のイチョウは黄金色に染まっています。最低温度が8℃を下回ると紅葉の始まりといわれています。そして、朝夕の温度差が大きくなることが条件になっています。気温の低下につれて、葉の中に離層ができ、物質の移動が困難になって糖類が蓄積され、アントシアニンなどの色素が形成されるために起こる現象です。カエデ科やウルシ科の鮮やかな紅葉が代表的です。また、イチョウやブナ科の黄葉は、葉の葉緑素が分解し黄色色素(カロテノイド)が残るために起こる現象で、紅葉のでき方と異なっています。
茨城県牛久市うしく里山の会 坂弘毅