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[青森県]下北地方におけるアイヌ語に由来すると思われる地名の一例

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公開日:2006年08月04日
[青森県]下北地方におけるアイヌ語に由来すると思われる地名の一例

[本文より]青森県下北郡東通(ひがしどおり)村に尻労(シツカリ)という集落があります。下北半島の東北端,クキドウノ崎の南に位置し,太平洋に面します。桑畑山の南麓にあたり,集落の南方から海岸沿いに砂丘が延びます。江戸期の紀行文などによると,菅江真澄は「シツケリ」,松浦武四郎は「静刈」と表記しているようです。盛岡藩の漆戸茂樹氏による地理書『北奥路程記』によると「志利労」の字があてられており,金田一京助氏による『北奥地名考』によると,旧来は「シリツカレ」との仮名書き,あるいは「尻労(シリツカレ)」との振り仮名表記をしていたようです。

地名研究家で知られる山田秀三氏によると,シリ(sir「地面,土地,山」)とツカリ(tukari「…の手前」),すなわち「山の手前」の意味で,発音上は前語の語尾のrが,後のtに引きつけられてtに転訛するのがアイヌ語の常則で,「シリ・ツカリ(山の手前)を続けて早く発音して「シッツカリ」(Shittukari)となり,さらにそれを和人が引きついで「シツカリ」となり,これが語源ではないかと推測しています。

むつ市立関根中学校 川岸敏男

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