巻頭言「わたしの社会科」 繋げる社会科
[本文より]
「理科離れ」という言葉が氾濫しています。この言葉を聞くたびに,大人である理科の関係者が子どもに罪をなすりつけているような気がしてなりません。今や,科学技術は離れたくとも離れられない日常生活のなかに浸透しています。じつは,生物として,子どもたちのほうが大人よりも新しい時代に敏感です。古い必要のない理科の内容が毛嫌いされているのでしょう。たとえば,携帯電話やインターネットの出現で,家庭はおろか子どもたちの生活は数年前と比べてもずいぶん変化しました。人々は毎日の自分の身のまわりに起きることに一番関心があります。とくに子どもは,家庭と学校生活がほとんどすべてなので,これらが楽しいものであるかどうかは切実な問題です。
宇宙飛行士・日本科学未来館館長 毛利衛