[本文より]これらは,戦後に社会科が成立し,その中で歴史教育が行われるようになって以降,一貫して変わらない基本的性格となっている。アイデンティティをこのように規定するとすれば,社会科における歴史教育でやってはしました。これほど見事に,欧米の間で「平和」の哲学が異なったことはありませんでした。アメリカのネオコンの議論はともかくとして,欧米関係を修復しようとするアメリカ側の努力が奏功するかどうかもともかくとして,なぜこのような文明論的な違いがでてきたのかを理解することは,日本そして東アジアにおける「平和」を考えるために不可欠です。そこで戦後ヨーロッパにおける「平和」論の特色を指摘したいと思います。
広島大学大学院教育学研究科教授 小原友行