[本文より]
・・・・一方,昭和50年,全日本剣道連盟は,「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である」という理念を掲げ,さらに,「剣道を正しく真剣に学び,心身を練磨して旺盛なる気力を養い,剣道の特性を通じて礼節を尊び,信義を重んじ誠を尽くして常に自己の修養に努め,以って国家社会を愛して,広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである」とその修練の目的を明確にする。ところが皮肉にも,この期を境にして“剣道人口の減少”という憂慮すべき事態が,加速度的に進行し,入門者数の激減による「道場経営の行き詰まり」「部活動運営への支障」など,深刻な事態に陥っている。剣道もその究極において,人間形成(人格形成)を第一に掲げながら,今日その実践において,少林寺拳法とかくのごとき差が生じたのは,いったいどこにその原因があるのであろうか?
Kimio Sone