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《New Vision》[教科指導編]エデュケーション

  • 実践事例
  • 学校経営
公開日:2005年11月22日
《New Vision》[教科指導編]エデュケーション



[本文より]

生徒の学力伸張をはばんでいるものとして,まず第一に,「生徒がおかれている今日的な状況」を考えてみたい。

我々教師は,あまりに単純・統一な存在として,生徒をとらえていないだろうか?入学当初,将来の進路ようさを実施してみると,ほとんどの生徒が上級学校への進学を目指している。そして,学年が進行しても,その志望率がほとんど下がらない。

しかし,そのことが,「生徒たちが向学心に燃え,日々の予習・復習をしっかりやる」ということに,直ちにつながるものでないことも,我々教師は経験によってよく理解している。

HPで,また「進学説明会」を開催して,進路に対する意識を喚起し,日々の学習の積み上げが大切なことを力説するのであるが,それらのことを生徒に理解させることはできても,日々の生活としてそれらを実行させることは,なかなか容易なことではない。それは,生徒の心の中に,「将来に対する大きな希望」と同時に,「今を楽しむ(楽に)」という強い志向が存在しているからである。そして,その二つの志向がぶつかり合ったとき,ほとんどの生徒は,とりあえず後者を優先させる傾向にある。ファミコン・TVゲーム・カラオケボックスなどが,その「今を楽しむ」ものの代表的なものといえる。

しかし,「今を楽しむ」という生徒たちの志向を,単純に「怠け癖」というようにとらえることは,正しくない。それは,いま顕著に日本人を覆っている社会的な風潮であって,しかも,必ずしも「悪い」ことではなく,我々が豊かなゆとりある社会を作り上げるための大切な価値観である,といえるだろう。ただ「今を楽しむ」という志向が,常に優先され,それ以上に大切なことへの努力を放棄する結果につながってしまうと,これは重大になる。周到な準備のもと,相応に情熱をこめてスタートする「生徒の学力向上のための取り組み(指導)」が,しばしば行き悩み・挫折していく原因は,ここにある。

「生徒」とは,将来に大きな希望を描きながら,日々「今を楽しむ」という欲求につき動かされている不安定な存在であるととらえ,その「価値観」と「生活」とに目を向けるところから,学習指導は始められなければならない。

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Kimio Sone

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