[本文より]先日「英語教育」'99 年7月号を読んでいると桂氏の「英語教育における連携のあり方」(以後,桂(1999)と略す)と題する論文が載っていた。「英語教育」は中学・高校・大学の連携については以前何度か増刊号で関連した内容を取り扱っているということと私自身が最近入学してくる生徒の学力のことでいろいろ考えさせられることもあり,この論文を興味深く読ませてもらい,苦笑いを禁じ得ないのと同時に,やはり21世紀を目前に控え,中学・高校・大学の連携は今更ではあるが,これからの英語教育を考えていく上で真っ先に取り組まなければならない最重要事項であると感じさせられた。
しかし,現実問題として,「じゃあ,中学・高校・大学の英語教育の連携をこれからうまくやっていきましょう」と謳ってやってみても,当然のことながら,私は決して上手く行くとは思わない。なぜなら,私は中学・高校・大学の連携を考える前にこの三者の見えない溝を埋めることからはじめなければ駄目だと思うからである。そこで,本稿では,中学・高校・大学の連携を実施する前に取り組むべきことと,今後の中学・高校・大学の連携が可能かどうかに焦点を当てて述べていくことにする。
浦和学院高等学校 鈴木聡