[本文より]Three Concentric Circles of World Englishes(2)
カチュルの「3同心円」論はあまりにも有名な世界英語論の基本モデルであるが,その中心的理念は「中心円」と「外円」の差別の撤廃を志向している。すなわち,旧英領植民地で発達し成熟した ‘New Englishes' はイギリス英語やアメリカ英語に比して言語的にけっして劣るものではないという思想である。旧植民地の住民たちは種々の理由から英語を第二言語として使い続けたが,それぞれの言語環境の中で自分たちの表現を獲得するために英語を改造し,再創造する必要に迫られた。これはとくに言語を媒体として創作活動をする作家たちにとっては喫緊の課題である。W. H. ニュー(W. H. New) はその間の事情について次のように簡潔に説明している。
山形大学名誉教授 金山等