[本文より]Lingua Franca Coreと英語教育(3)
J.ジェンキンスが提示した‘a minimum list of features for the pronunciation of Inter- national English'1) であるLFCのシラバスは次のような教育的視点から作成されている。--(略)-- 学習者の音韻的な課題を軽減すること,そのために,末梢的な事がらは学習者の裁量や以後の教室外の習得に委ね,‘intelligible pronunciatioh'という基本的な点にもっぱら教育上の配慮をすること,それがLFCの特色である。
ジェンキンスはこのような‘core approach'のアイディアをB.ジェナー(Bryan Jenner)から受け継いだ。ただ,ジェナーの視野はNS(Native Speakers)に対するNNS(Non-Native Speakers)の英語の発音の‘intelligibilith'というレベルに止まっていた。換言すれば,NS中心の英語発音の重視である。ジェンキンスはその枠外に出て,NNSとNNS間の‘intelligibilith'という観点からシラバスを具体化し体系化したのである。ただ,それに用いたデータは,彼女が告白しているように,そのすべてを彼女自身の体験に負っているため,客観的な資料が不十分であるという批判はまぬがれまい。今後,英語「変種」のコーパス分析が進めば,さらに細密化されたシラバスが期待されよう。
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山形大学名誉教授 金山等