[本文より]私は学習者の「語学学習」に興味があります。ご承知のように,学習者はそれぞれ個々に学習スタイル (learning style) を持ち,その学習スタイルはあまり変わらないと言われています。つまり,私たち教員は,学習者個々の学習スタイルに合わせた学習ストラテジー (learning strategy) の開発の援助をすべきだと考えています。
その考えの延長として,「学習者は学習を作られている」のではないかという仮説を持っています。すなわち,「英語の勉強はこのようにするとよい」,「英語の授業はこうあるべきだ」などという思い込みが明治から続く英語教育の歴史の中で自然に作り上げられているのではないでしょうか。逆に,欧米の教育を土台としたELT理論を追随する雰囲気も自然と作られています。その渦中にいる生徒(学習者)は,一体英語の授業をどう眺めているのか,コミュニケーション能力の育成,異文化理解などの目標をどの程度意識しているのか,どんな英語学習をしてきたかなどに,現在,たいへん興味があるわけです。
埼玉医科大学講師 笹島茂