【本文より】 次の教育課程から「理科基礎」なる科目が始まる。そこで,まず私の中の「生物学史」を書いてみたい。
もとより私は,科学史をきちんと学んだ者ではない。その私が生物学史に興味を持つようになったのはこうであった。教壇に立つようになって2年くらいたった頃,ロバート・フックのことをよく知らずに細胞の発見を語り,シュライデンやシュヴァンの論文を見たこともないのに「細胞説」の説明をしている自分に気づいてしまったのであった。たとえれば「講釈師見てきたような・・・」で,知りもしないことを,さもよく知っているかのように授業をしている自分にすこし後ろめたさのようなものを覚えたことを記憶している。
栃木県立栃木高等学校 川島基巳