【本文より】学校の周りに生息する動・植物は理科の教材として重要なものです。小・中・高を通じて,理科だけでなく生活科,家庭科,農業,水産などの各教科・科目の教材として利用されています。しかし,生徒をとりまく環境と生活の変化から,ここ数十年で動・植物の存在が身近なものでなくなってしまいました。生徒は,学校の周りや家の周りにどんな動・植物が生息しているか知っていることはほとんどまれとなってしまいました。こうした身近な生物を観察する機会の減少,さらには観察する能力の低下は,広い意味での理科離れであり,「生きる力」の育成をめざす今日の学校教育においてきわめて憂慮すべき状況といえます。
そこで,生徒たちに身近な自然環境への関心を喚起し,そのすばらしさを再認識させることは,理科教育の立場からたいへん意義のあることではないかと考えました。さらに,環境学習や総合的な学習に発展させる意味でも,学校の周りの身近な生物の生息状況を把握しなければならないと考え,本校生物部の生徒と共に本研究に取組むことを考えていました。
栃木県立宇都宮高等学校 敦見和徳