【本文より】 「いきいき物理,わくわく実験」(新生出版,愛知・岐阜物理サークル)の発刊以来,私たち物理の教員の一つの夢が,「原理むき出しの簡単かつ大がかりな装置により,眼の前で意外性のある不思議な実験を行って,生徒たちをあっと驚かせたい!」ということだったと言えるだろう。その証拠に,今では多くの実験解説書籍が次々出版され,インターネットの理科関連ホームページ(杉並区立科学教育センター 河野晃さんのまとめられたCD-ROMがある)も,いまでは相当数に上っている。それを受け光学分野の実験でも,使い捨てカメラを分解しフィルム代わりにトレーシングペーパーを貼り付けるとか,牛乳パックを2つ重ねてピンホールカメラやケプラー式望遠鏡を作ったり,あるいは,暗幕を引いた実験室でピンホールによる倒立像を確認するなど,たくさんの実験情報が提供されてきた。私自身も授業でなるべくいろいろな実験に取り組み,生徒たちと感動を共有しようとしてきたが,「教室全体でピンホールカメラ」という実験に取り組んだとき,その暗さと光の回折やホール径による像のボケのせいか生徒たちからボーっとしか見えないという不満の声がたくさんあがってしまい,少々居心地が悪くなってしまった。確かに,長時間露光により写真を撮るのでなければ,像が暗いという印象は否めない。そこで,これではいけないと奮起し,横浜物理サークルの面々にアイデアを求めながらまとまったものが,今回ここに掲載させていただく方法である。
神奈川県立大船工業技術高等学校 金子英樹