【本文より】 みなさんは「DTV(デスクトップビデオ)」或いは「ノンリニア編集」という言葉を知っていますか? よく知られているDTP(デスクトップパブリッシング)は印刷・出版業界に衝撃を与えたパソコンによる原稿レイアウト編集,(版下作成),印刷までのシステムのことですが,DTVとはDTP同様,机上のパソコンに映像を取り込み,そこで書いた設計図に基づいてビデオの編集を行おうという技術です。この1~2年,パソコンを使ったビデオ編集の技術がずいぶん安価に入手できるようになり,その方面に多少興味のある人であれば,個人でも家族のビデオレターを制作したり出来るようになってきました。その理由の一つにハードディスク環境の変化が挙げられます。安価なIDEドライブの市場に,GMRヘッドを搭載した大容量で高回転のものが出まわるようになり,従来SCSIでしか実現できなかった大量高速転送が身近になりました。つまり,motion-JPEGによる転送は608×456の映像でも≒2MB/Sもの転送レートを要求するし,今や標準的になった家庭用ビデオカメラのDVフォーマット(720×480)の映像では≒3.6MB/Sもの転送レートが必要となり(転送レートは映像の内容にも影響されます),しかもその転送レートを何分も維持しなくてはならないと云う,大変なシーケンシャルアクセス性能がなければ,ビデオの編集は出来なかったわけです。またこうした環境に成り立つビデオ編集は,ハードディスクというランダムアクセスが可能な媒体を使うため,テープなどのリニアなメディアによる編集とは区別をして,「ノンリニア編集」と言われています。
神奈川県立大船工業技術高等学校 金子英樹