【本文より】前回は,システムとしての地球環境について述べたので,今回は社会環境に重点をおき,社会環境と地球環境のシステム性について考えたい。
最近,人間社会が多くの面で危機的状況におかれている。例えば,人間社会の外からは,地震(台湾大地震など),台風(九州の高潮被害など),大洪水(ベネズエラなど)の攻撃を受け,多大な被害がもたらされた。これらの地震,台風,洪水,地滑りなどの発生を人間の手によって止めることはまず出来ない。しかし,これらの自然災害を人間の手によって防止することは可能である。今までは,これらに対する対策が非常に不十分であったことは否めない。この対策には多くあるが,建物の強固化,湾岸整備,河川堤防整備などハード面の対策と自然災害が生じた時におけるすばやい対応(救助活動など),情報伝達,情報公開,危機管理に対する法的整備,経済対策といったソフト面の対策がある。
慶応義塾大学理工学部教授 鹿園直建