【本文より】 私は,精神科医であるが,かねてより受験勉強法の研究やそれにまつわる著書がベストセラーになったこともあって,若い人たちの勉強観や学力の問題には人一倍関心をよせ,それにまつわる著書(たとえば,PHP研究所『学力崩壊』など)を書いてきた。
今回は理科教師対象ということだが,理科ともっとも密接な科目とされる数学の学力低下について問題提起をさせていただく。というのは,数学力の調査は,比較的容易な上,国際比較もしやすいので,文部省が本格的な調査をしない中(もちろん国際数学・理科教育調査報告書などもあるが),民間レベルも含めてかなりの検討がされているからだ。しかし,第三回国際数学・理科教育調査報告書も含めて,子供たちの数学離れは理科離れと並行して起こっているので,理科教師の皆様にも参考になると信じている。
精神科医,一橋大学経済学部,東北大学医学部非常勤講師 和田秀樹